腫瘍内科についてご紹介します。
当科について
基本方針
がん(悪性腫瘍)に対する薬物療法について
現在、がん(悪性腫瘍)の治療は薬物療法・免疫療法・外科的療法(手術)・放射線治療など多岐に渡り、疾患に応じてこれらを適切に組み合わせた集学的治療が行われます。薬物療法はいわゆる抗がん薬に加え、がん細胞に選択的に効果を示す分子標的療法・抗体療法・ホルモン療法、自己の免疫による抗腫瘍効果を示す免疫チェックポイント阻害薬など、新規治療薬が多く導入され、複雑化しています。腫瘍内科は、これらの内科的治療である薬物療法を専門に行う診療科です。新規治療に用いられる薬物療法には従来の薬剤とは異なる特有の有害事象(副作用)が伴うことが多く、各分野の専門医や医療スタッフとの連携が重要となります。腫瘍内科は、薬物療法とそれに伴い適切な支持療法(有害事象の対策)を行い、薬物療法を安全に行います。
腫瘍内科で扱う主な疾患
- 原発不明がん
- 希少がん
- 軟部肉腫
- 遺伝性腫瘍症候群/がんゲノム医療
施設・設備・取り組み
施設・設備・取り組みのご紹介
最近の悪性腫瘍に対する薬物療法は、入院を必須とせずに日常生活を継続した外来通院に移行しています。当院では外来通院での薬物療法は、2022年12月から南棟2階に新規移転した通院治療センターで統括して施行しています。腫瘍内科は、日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医として、安全かつ安心して薬物療法を受けられるよう、血液内科と協力して通院治療センターを運営しています。
がんに対する薬物療法は上記のように特有の有害事象(副作用)を生じる可能性があるため、当院の通院治療センターにおける薬物療法は、医師とともにがん化学療法看護認定看護師・がん薬物療法認定薬剤師が以下のような取り組みを行っています。
- ベッドサイドで、薬剤師が内服薬の効能・用法・用量・副作用・注意点を薬の一覧表を使用しながら説明します。
- 点滴の薬物療法に際して、治療のスケジュール表とともに治療の予定や予測される副作用等を詳細に説明し、薬物療法中の不安を最大限軽減できるように努めています。
- 薬物療法は、院内共通のプロトコールとして電子カルテ上で管理され、治療に際しては主治医に加え薬剤師による監査・看護師による体調確認が行われ、適正な薬物療法を行っています。
- 通院治療センターで行う薬物療法については、定期的に薬剤師・看護師・医療ソーシャルワーカー・臨床心理士が参加する多職種による症例検討会でより安全な通院薬物療法の施行を目標に協議しています。
- がんに対する治療は、上記のように薬物療法に加え免疫療法・放射線治療・外科的治療(手術)を適切に組み合わせた集学的治療が行われます。腫瘍内科では、放射線治療科・外科系診療科と緊密に連携し、最適な集学的治療を計画しています。
がんゲノム医療について
悪性腫瘍に対しては、がんゲノム医療として遺伝学的検査(遺伝子検査)に基づく個別化医療が導入されています。当院では、2020年1月より、名古屋大学医学部附属病院をがんゲノム医療中核拠点病院とするがんゲノム医療連携病院として、がんに関連する数百の遺伝子を検査し、最適な治療方針を検討するがん遺伝子パネル検査の提出を開始しました。腫瘍内科では、日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医として、がん遺伝子パネル検査の提出・名古屋大学医学部附属病院と協力した結果の検討・開示まで一貫して行っております。2024年の1年間に、40例のがん遺伝子パネル検査を提出し、結果を開示しました。また、遺伝性乳がん卵巣がんなどの遺伝性腫瘍症候群に関連する遺伝学的検査に関する遺伝カウンセリングを、患者さんに加え血縁の方を含めて行っております。

認定施設
- 日本臨床腫瘍学会認定研修施設
腫瘍内科 医師紹介
- 通院治療センター長
- 腫瘍内科代表部長
稲垣 裕一郎
いながき ゆういちろう
- 日本内科学会認定 認定内科医
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
- 認定医・専門医
- 日本内科学会認定 認定内科医
日本内科学会認定 総合内科専門医
日本血液学会認定 血液専門医
日本血液学会認定 血液指導医
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医
日本臨床腫瘍学会認定 指導医
日本内科学会認定 JMECCインストラクター
日本救急医学会認定 ICLSインストラクター
日本造血細胞移植学会認定 造血細胞移植認定医
日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定 臨床遺伝専門医
一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会 評議員 - 出身大学(卒年)
- 名古屋大学(H17年)
- 専門領域
- 血液内科、腫瘍内科全般