診療科・部門

呼吸器外科

呼吸器外科についてご紹介します。

当科について

基本方針

  • Hospitality:おもてなしの心をもって診療に当たります
  • Speciality:専門性をもって治療を行います
  • Community:地域の医療施設との連携を密にして西三河南部地域の医療を守ります
  • Quality:患者さんにとって、質の高い医療を提供します
  • Vitality:バイタリティーをもって、緊急手術にも対応します

~心臓血管外科・呼吸器外科について~

当科は、1973年に胸部外科として発足し心臓疾患・大動脈疾患・肺・縦郭疾患を対象にした外科治療を行ってきました。2009年からは心臓血管外科と呼吸器外科の二本柱に専門性を持たせる目的でそれぞれに専従化し、呼称も'心臓血管外科・呼吸器外科'に変更しました。現在この二つのチームが協力して診療にあたっています。当科は'おもてなし'の心 を持って、身体にも心にも優しい手術を目指しています。

現在呼吸器外科医3名で肺癌をはじめとする悪性腫瘍、自然気胸、縦隔腫瘍、良性腫瘍、胸壁腫瘍、漏斗胸、胸部外傷など胸部疾患全般にわたる手術、治療を行っております。

認定施設

  1. 日本胸部外科学会指定施設
  2. 呼吸器外科専門医合同委員会認定修練施設 基幹施設

呼吸器外科で扱う主な疾患

原発性肺癌

近年患者数が増加しており、当科で最も多く手術を行っている疾患です。現在肺癌に対する標準手術は、癌のある肺葉と癌の転移経路の一つであるリンパ節を切除することです。
当科では肺癌に対しては3~4cmの創と2~3ヵ所の孔から胸腔鏡(内視鏡)を使用しモニターを見ながら行う完全胸腔鏡下手術(Complete VATS)と開胸手術(8~20cmの皮膚切開)を行っており、安全性と確実性を第一に、患者様の全身状態や病状等から術式を選択しております。
また近年画像診断の進歩により癌の早期発見が可能となり、肺の辺縁に存在する小型の肺癌が見つかることが多くなっております。
2cm以下の末梢小型肺癌に対しては切除範囲を縮小しても同等の予後が得られるとされており、さらに呼吸機能も温存されるため、当科では区域切除等の縮小手術(肺の切除範囲を小さくする手術)を積極的に取り入れております。
さらにより体に優しい手術をめざして、4~5cmの創1か所から胸腔鏡を使用して行う単孔式手術も導入しております。
現在これらの方法により早期退院が可能となり術後5~7日で元気に退院をしていただいております。

ロボット手術について

2022年4月より手術支援ロボット"ダビンチ"を使用したロボット手術も開始しています。
現在肺癌に対する肺葉切除・区域切除、縦隔腫瘍手術は保険適応となっており、20例以上の患者様にこの手術を受けていただき、良好な結果を得ています。
胸腔鏡を使用する手術のひとつで、執刀医(外科医)が"ダビンチ"というロボットをコントロールしながら行う手術です。
通常、体(側胸部)に4cm程度の穴(切除した肺を取り出す)を1か所、他に1~1.5cm程度の穴を4か所あけて行います。
従来の胸腔鏡手術と同じくモニター画像を見ながら手術を行いますが、ロボット手術の特徴としては①術野を10倍に拡大して3Dカメラを使用するため術野が立体的で広く鮮明で細部の手技が正確に行える②手ブレのない多関節鉗子を使用するため人の指以上の細かな動きが可能で手術の正確性がより高くなる③手術中の執刀医の負担を軽減することで手術の正確性を高める、などがあります。
これらにより期待されている利点として、①傷口が小さく、肋間の損傷が少なく疼痛も少ない②精緻な動きにより止血も効果的にできるため出血が少ない③回復が早く早期社会復帰が期待できる④血管の剥離やリンパ節の切除など緻密で正確な操作ができることにより術後合併症のリスクが低くなる等があります。
しかしながらロボット手術に限らずすべての手術にはリスクが伴うため、事前に十分に外科医の説明をうけてご理解いただいたうえで手術を受けていただく必要があります。

気胸

肺にできた風船(ブラ)が破れて、空気がもれてしまう疾患です。若い男性に起こることが多いですが、ご高齢の方の肺気腫などに合併する気胸も増加しております。また稀ですが、月経随伴性気胸など女性特有の気胸もあります。
空気漏れが止まらない場合や再発された場合などは手術をおすすめしています。手術では胸腔鏡下でブラを切除もしくは焼灼し、シートで補強する手術をします。手術時間は約1時間で、術後2~3日で退院していただいいており、早期社会復帰・通学が可能となっています。

縦隔腫瘍(左右の肺に挟まれた胸部正中部分の腫瘍)・重症筋無力症

縦隔腫瘍には胸腺腫、胸腺癌、神経原性腫瘍、先天性嚢胞性腫瘍など良性から悪性腫瘍まで様々な腫瘍があります。悪性腫瘍や大きな腫瘍に対しては胸骨正中切開(胸の真中を切開し胸骨を縦切開する)によるアプローチを基本とし、腫瘍切除を行っております。大血管などへ腫瘍の浸潤を認める場合には、心臓血管外科と協力し、人工血管置換術なども行い、根治性の高い手術を目指しております。
また5cm以下で周囲への浸潤がない腫瘍や良性腫瘍、重症筋無力症に対しては、胸骨を切開せず、みぞおちから手術を行う低侵襲な単孔式胸腔鏡手術(創部はみぞおちの1か所)もしくは二孔式胸腔鏡手術(創部はみぞおちと胸部の2か所)も行っています。整容性に優れ、疼痛や感染のリスクも少なく、術後5日前後での退院が可能となっております。

漏斗胸

胸壁下に金属のバーを留置する胸骨挙上術(Nuss法)を導入しております。
また手術以外の治療を希望される場合には、自宅での吸引器具を使用した治療方法もご紹介しております。

その他の肺良性腫瘍、胸壁腫瘍、生検など

胸腔鏡下手術を標準アプローチとし、腫瘍切除や生検(検査目的の手術)を行います。

胸部外傷

交通事故などによる外傷性気胸、血胸、多発肋骨骨折、肺損傷などに対しても積極的に治療にあたっております。必要に応じて、ドレナージや手術、人工呼吸管理などを行います。
胸部以外の多臓器にも損傷を認めることも多く(多発外傷)、他科との連携のもと治療を行います。

その他

当科で扱う胸部の悪性腫瘍の中には大血管や心臓周囲、胸壁などへの浸潤を伴っていることがあります。
このような場合には、呼吸器内科、放射線科との連携のもと術前・術後に化学療法や放射線治療を併用した集学的治療や前述のような心臓血管外科との連携による拡大手術にも取り組んでいます。
当院では総合病院の特徴を活かし、他科との連携や開業医の先生方や他病院との連携をさらに深めることで疾患の早期発見や早期治療に努め、より質の高い専門性的な医療を提供し、地域の皆様の健康に貢献できるよう今後も努力を続けて参りたいと考えております。
また交通事故等による胸部外傷等緊急性の高い疾患も24時間体制で対応させていただいております。
いつでもご連絡ください。

診療実績

2019年度2020年度2021年度2022年度2023年度
外来患者数(延べ人数)1,7261,5011,5411,9761,929
入院患者数(延べ人数)2,6992,0233,2952,5632,529
紹介率100.0%90.4%80.0%102.1%109%
逆紹介率132.4%125.0%76.7%131.9%120.9%
平均在院日数10.39.314.39.98.9
手術件数224179211212232
2019年2020年2021年2022年2023年
原発性肺癌12292119113140
気胸4341474147
転移性肺癌1719211318
縦隔腫瘍191512148
その他2216221823
総手術件数223182221196*236*

*うち胸腔鏡下手術144例、ロボット支援下手術10例(2022年)
*うち胸腔鏡下手術181例、ロボット支援下手術21例(2023年)

呼吸器外科 医師紹介

  • 呼吸器外科代表部長
  • 教育研修・臨床研究支援センター長
  • 院長補佐

藤永 一弥

ふじなが かずや

  • 呼吸器外科専門医合同委員会認定 呼吸器外科専門医
  • 日本外科学会認定 外科専門医
認定医・専門医
呼吸器外科専門医合同委員会認定 呼吸器外科専門医
日本外科学会認定 外科専門医
日本外科学会認定 外科指導医
日本呼吸器外科学会評議員
日本呼吸器外科学会認定 胸腔鏡安全技術認定制度認定医
da Vinci Certificate(ダ・ヴィンチ執刀資格)
日本気胸・嚢胞性肺疾患学会評議員
出身大学(卒年)
三重大学(H8年)
専門領域
呼吸器外科
  • 呼吸器腫瘍外科部長

篠原 周一

しのはら しゅういち

  • 呼吸器外科専門医合同委員会認定 呼吸器外科専門医
  • 日本外科学会認定 外科専門医
認定医・専門医
呼吸器外科専門医合同委員会認定 呼吸器外科専門医
日本外科学会認定 外科専門医
da Vinci Certificate(ダ・ヴィンチ執刀資格)
出身大学(卒年)
産業医科大学(H23年)
専門領域
呼吸器外科
  • 胸部外科医長

中村 文

なかむら ぶん

  • 日本外科学会認定 外科専門医
  • 日本周術期経食道心エコー認定医(JB-POT)
認定医・専門医
日本外科学会認定 外科専門医
日本周術期経食道心エコー認定医(JB-POT)
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構認定 心臓血管外科専門医
出身大学(卒年)
三重大学(H26年)
専門領域
呼吸器外科