がん細胞をいち早く見つけ出す「細胞の番人」
細胞検査士とは
細胞検査士は、簡単に言うと「がん細胞を見つける仕事」をしています。
人間の体には約60兆個の細胞があります。その細胞が時として無秩序に増え続け、人間が生きていくことを邪魔するのが「がん細胞」です。がん細胞をいち早く見つけ出し、退治するために顕微鏡で検査する「細胞の番人」が細胞検査士です。
細胞検査士の仕事
子宮頸がん検診では、産婦人科医が子宮内部の細胞を採取具でこすり取り、ガラスに塗りつけます。私たちは、これらの標本を染色液で染めて顕微鏡で調べます。「がん細胞」や前がん病変である「異形成細胞」があるかどうか細胞を一つ一つ観察し、推定診断、所見を書き、細胞診専門医が最終診断を行い、結果を臨床現場へ報告します。他には、患者さんのベッドサイドへ出向き、乳腺、甲状腺、唾液腺、リンパ節などに皮膚から針を刺して細胞を吸引する穿刺吸引細胞診を行い、標本作製をします。また、その場で標本を顕微鏡で見ることもあります。
お仕事紹介
「がん細胞」を見つける「細胞診」
医師が採取した細胞をガラスの塗り標本をつくり、染色液で染めて顕微鏡で調べるのが「細胞診」です。細胞ひとつひとつを、くまなく調べ「がん細胞」や前がん病変の「異型細胞」などを見つけます。
病理診断科医師とのカンファレンス
毎日、前日に鏡検した診断結果の内容を病理診断科と細胞検査士でカンファレンスを開催します。このカンファレンスを経て、臨床現場へ結果が報告されます。
気管支鏡検査室でリアルタイムの肺がん検査
気管支鏡検査では医師が採取した組織をその場で迅速に標本を作り顕微鏡で観察します。「目的とする病変部より充分な量の細胞が採れているか」を報告し、患者さんの負担を最小限にします。
甲状腺外来での標本作製
医師がエコーを行いながら注射針で腫瘍を刺し、細胞を採取します。その場で、採れた細胞の量を確認しながら、目視で適切な標本づくりを行います。
この仕事の魅力
医学検査の技術は高度化し、たくさんの検査が機械化していく中で、細胞診検査は「人しかできない検査」であり、私たち細胞検査士が「がん診断の一躍を担っている」ということです。自ら出した結果が、患者さんの「がん」の早期発見や治療方針に影響すると考えると身が引き締まります。
さいごに
近年では、著名な方々が「がん」と闘っているということを公表し、メディアによってさまざまな「がん」が知られるようになりました。そして、一般の方々にがん検診の重要性が認識され検診を積極的に受けるようになってきています。しかし、先進国の中で検診受診率が一番低いのは日本と言われており、特に20代から30代の検診受診率が低く、意識が非常に低いのが実情です。
日本人の2人に1人は一生のうちに1度「がん」にかかり、3人に1人が「がん」で亡くなると言われています。細胞検査士は、がん検査の専門職として、1人でも多くの方ががん検診を受け、「がん」で亡くなる人が1人でも少なくなることを願っています。