• 病気のおはなし

Vol.37 救急外来で見かける意外と多い過呼吸(過換気症候群)とは?

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救急科代表部長 田渕昭彦  
(2018年7~8月発行 いんふぉめーしょん更生より)

救急外来で見かける意外と多い過呼吸(過換気症候群)とは?


皆さんもこれまでの人生で一度は過呼吸を体験された方もみえるのではないでしょうか?


何らかの原因、たとえばパニック障害や極度の不安、緊張などで息を何回も激しく吸ったり吐いたりする状態(過呼吸状態)になると、呼吸ができない、息苦しさ(呼吸困難)を感じます。


原因は、過呼吸により血液中の炭酸ガス濃度が下がり、血液がアルカリ性に傾くことで血管の収縮が起き、テタニーと呼ばれる手足のしびれや筋肉のけいれん・収縮を招きます。患者さんは、このような症状の時、さらに不安を感じて過呼吸状態が悪化し、「死ぬのではないか」という強い不安感を抱くことがあるため、症状が更に悪化するという一種の悪循環状態を引き起こします。


 周りの人は驚いて119番要請をしてしまうのですが、過換気発作は、たいてい30分~60分程で自然に軽快しますので、救急車で病院に着く頃には発作は治まっていることもあります。一般的には思春期以降に多くみられ、20歳前後に最も多く、男性より女性に2倍多くみられます。また、ある統計では一般人口の6~11%程度に発症するという報告もあるようです。


 治療は、比較的軽い場合、まずはゆっくり話しかけて安心させることが重要です。ゆっくりとした大きな呼吸を促し、可能であれば呼気(吐く息)を5秒以上かけて行うように指示します。意識的に呼吸を遅くするあるいは呼吸を止めることで症状は徐々に改善します。以前は紙袋を口に当てて一旦吐いた息を再度吸わせることで、血液中の炭酸ガス濃度を上昇させる方法(ペーパーバック法)がありました。しかし、この方法では血液中の酸素濃度が低くなりすぎたり、炭酸ガス濃度が過度に上昇したりする可能性がありますので現在では推奨されていません。特に不安が強い患者さんに対しては、抗不安薬などの投与を行い治療することもあります。


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