• 病気のおはなし

Vol.28 前置胎盤のおはなし

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総合周産期母子医療センター 母体胎児センター長 戸田 繁 

(2018年5~6月発行 いんふぉめーしょんこうせいより)

前置胎盤とは?

 胎盤は妊娠中に赤ちゃんに酸素や栄養を補給する臓器で、子宮の比較的上のほうにできます。これが下のほうにできて子宮の入り口をおおってしまうものを前置胎盤とよび、妊娠千回あたり3~5回の割合で生じます。分娩の際に大出血を起こし、そのままでは母体の生命を脅かしかなねい、重篤な産科合併症です。


診断と管理の方法

 前置胎盤は多くの場合、妊婦健診での超音波検査で診断されます。必要に応じてMRI検査を行い、胎盤の詳細な位置や、子宮と癒着の有無を調べます。子宮から出血があったり、おなかがはる場合は入院にて管理を行います。貧血がなければ、分娩に備えて自己血(自分用の輸血)の採取を行います。分娩は必ず帝王切開で、原則として麻酔科の医師と協力して行われます。分娩時出血の危険が非常に高いケースでは、子宮への血行を遮断するためのカテーテルを入れて帝王切開をしたり、赤ちゃんが生まれた後に引き続き子宮摘出術を行う場合もあります。


当院の実績

 2012年 ~ 2016年の5年間の総分娩数7,421件のうち、約2%にあたる141名の前置胎盤の妊婦さんに対して治療を行いました。9割以上にあたる128名が、他の医療機関で診断され当院に紹介された方でした。事前に入院を必要とした妊婦さんは65名でした。分娩週数は36週が最も多く、すべて帝王切開、うち42名が緊急帝王切開での分娩でした。すべての妊婦さんが大きな後遺症を残さずに退院されました。


前置胎盤と診断されたら

 診断を告げられた際には大きな不安を感じられることと思いますが、安城更生病院には、産婦人科、小児科、麻酔科、放射線科、輸血検査室など、前置胎盤の管理を十全に行うための体制が整っております。安心して分娩に臨んでいただけるように最大限の努力をいたしますので、何でもスタッフにおたずねください。

西三河地域の中核的な周産期医療施設として、地域の医療機関と緊密に連携し、妊婦さんと赤ちゃんのいのちを守ります。

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〈とだ しげる〉奈良県橿原市出身。1993年名古屋大学卒業。2010年より母体胎児センター長。

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