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Vol.72 適正な救急搬送の見直しをしよう!

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救急NEWS

救急科代表部長 田渕昭彦  
(2019年7~8月発行 いんふぉめーしょんこうせいより)


  日本では、救急車の運用は行政サービスのひとつとされており、その費用は私たちの税金で賄われています。そのため、救急車は原則無料で利用ができます。ちなみに、救急車が1回出動するのに必要な費用は、諸経費込みでおよそ4万5千円です。


  日本では119番に電話をすれば、国籍や人種、納税の有無に関わらず無料ですが、お隣の中国では、基本的に有料となっており走行距離に応じた金額を請求されます。  総務省消防庁の発表によると、平成29年中の救急出動件数は634万件、搬送人員は574万人と、いずれも過去最高を記録しました。ここ10年間近くを見ても右肩上がりで増え続けています。

  数年前から救急車の一部有償化に向けて検討がなされていますが、背景には膨れ上がった消防関連予算が年間2兆円にものぼるため費用を削減するという狙いがあるようです。


  その他の理由として救急車が安易に利用されていることが挙げられます。救急車は、緊急時に利用されるべきですが、虫刺されなどの軽症や薬が無くなった、病院で待ちたくない等の理由やタクシー代わりに救急車を呼ぶ人が年々増えているためです。


  救急車を有料化するメリットは、軽症による安易な119番通報が減少し、本来あるべき重傷患者の利用が増え、年々膨れ上がっている消防関連費用を減らすことから節税につながります。これにより、慢性的な人手不足で疲弊している救急スタッフの負担も軽くなると考えられます。

  但しデメリットとしては、金銭的に余裕がない人が重篤な症状であるにも関わらず、救急車を呼ぶことを躊躇してしまう可能性があり、手遅れになって命を落とすような事態が生じるかもしれません。  今こそ、みんなの大事な命を守るために、もう一度救急車の適正な利用を考え直してみましょう。


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