病院で血圧を測ったとき、思った以上に高かったと焦ってしまったことはありませんか?
高血圧を改善するには、減塩や運動、適正体重の維持や節酒がありますが、今回は減塩についてお話したいと思います。
塩分摂取量が非常に少ない民族
皆さんはヤノマミ族という民族を知っていますか?
実はヤノマミ族は、塩分の摂取量が非常に少ない民族なんです。そして、ヤノマミ族を対象にした研究(*1)では、収縮期血圧が95.4mmHg、拡張期血圧61.4mmHg、と高血圧がなく、年齢を重ねても血圧が上昇しなかったことが分かっています。
塩分摂取量と1日の目安
では日本人は実際にどのくらい塩分を摂っているのでしょうか?
厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」では、日本人の平均塩分摂取量は、男性で11g、女性で9.3gだということがわかっています(平成30年度)。
一方で、高血圧や慢性腎臓病の重症化予防のための一日の塩分目安は、男女とも6.0g/日未満とされています。(*2) また、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人1日当たりの塩分は、男性で7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。つまり、高血圧などの疾患がない方や、血圧が正常な方にとっても、現代の食事は塩分過多であり、減塩を心がけることが必要なのです。
血圧をあげない食事の工夫
減塩というと、減塩醤油など調味料を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
もちろん減塩された商品を使用することも血圧をあげない食事の工夫ですが、まずは汁物を1日1杯にする、麺類などの汁は残す、追加で調味料をかけないなど、小さな心掛けから始めるのも効果的です。また、おかずの量が多すぎても、結果的に塩分を多く摂取してしまうことになります。お米などの主食と、野菜類を組み合わせた定食の形で食事をとることを意識してみましょう。
(*1) 循環器疫学サイトより引用
http://www.epi-c.jp/entry/e114_0_0013.html
(*2) 日本高血圧学会より引用
https://www.jpnsh.jp/com_salt_03.html
図1 高血圧治療ガイドライン2009を参考.図は自己作成
この記事はJAあいち中央広報誌ACT2024年2月号に掲載されました。