患者さん・地域の皆さまへ
安城更生病院では「未来の医療」につなぐため、地域の皆さまに「よりよい医療」を届けるため、「臨床研究」や「治験」を行っています。
臨床研究・治験について
「臨床研究」とは、人を対象として行われる医学研究のことです。病気の予防・診断・治療方法の改善や病気の原因の解明、患者さんの生活の質の向上を目的として行われます。そこでは、長い時間をかけて発症する病気や、稀にしか見られない病気も対象になりますし、すでに行われている治療の効果やその予後を観察していくこともあります。
近年、様々な病気に対するくすりや医療機器が数多くあります。しかし、すべての病気がくすりにより治療できるわけではありません。病気を治療するのに有効な「くすりの候補」が世界中で開発されています。
その「くすりの候補」が、「新しいくすり」となって多くの患者さんに使用できるようになるためには、あらかじめ人での効果と安全性を十分に確認する必要があります。そのために行う臨床研究を「臨床試験」といい、その中でも国(厚生労働省)から認めてもらうことを目的として行う臨床試験を「治験」といいます。医師から処方されるくすりや薬局で買うくすりなど、現在発売されているすべてのくすりは、この「治験」という段階を経て開発されてきています。
新しいくすりができるまで
皆さまが使われている「くすり」は、とてもたくさんの研究・試験を経て生まれています。
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基礎研究【2〜3年】
「くすりの候補」となる新しい物質を見つけます。
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非臨床試験【3〜5年】
動物などを用いて有効性と安全性を調べます。
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治験【3〜7年】
人にとって有効で安全なものかどうかを調べるのが治験です。
- 第Ⅰ相試験
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【少数の健康な人】安全性を検討します。
※当院では、健康ボランティアの方を対象とした治験は行っておりません。
- 第Ⅱ相試験
- 【少数の患者さん】病気の程度によって、どのような効き目を発揮するのか(有効性)、どの程度の副作用か(安全性)、どのような使い方(投与量、間隔、期間)が最適なのかを検討します。
- 第Ⅲ相試験
- 【多数の患者さん】「くすりの候補」と現在使用されている標準的な薬などと比較して効果と安全性を検討します。
当院で行なわれる治験のほとんどが第Ⅱ相、第Ⅲ相試験です。
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国(厚生労働省)の許可【1〜2年】
治験結果を審査して、くすりとして価値のあるものが認可されます。
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新しいくすりの誕生
「くすりの候補」が「新しいくすり」として製造・販売されます。
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製造販売後調査
薬の評価・再調査・副作用の調査などを行います。
臨床研究・治験への参加をすすめられたら
参加を決めるのは患者さんの自由です。医師や臨床研究コーディネーターからの説明を十分お聞きになり、ご納得いただいたうえで、参加するかお決めください。ご家族と相談することも可能です。
参加をお断りになっても、今後の診療等で不利益になることはありません。それまでどおり、治療や診察など受けることができます。また、途中であってもいつでも取りやめることができます。
臨床研究コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)とは
CRCは、臨床研究・治験が円滑に実施されるよう患者さんや医師に対して様々なサポートを行う専門医療スタッフです。臨床研究・治験について患者さんに分かりやすく説明するほか、診察・検査に同行します。また、わからない点、不安な点などなんでもお聞きください。当院では、看護師、薬剤師がCRCとして活動しております。
治験審査委員会について
治験審査委員会とは、治験を実施するにあたり、その治験の実施計画書が、治験に参加する患者さんの権利や安全を守って「くすりの候補」の治療効果を科学的に調べることができるかなどを、慎重に検討する委員会のことです。この治験審査委員会には、医学・歯学・薬学などの専門家だけではなく、専門外の人や病院と利害関係がない人も必ず参加します。当院で行う治験は、すべて、この治験審査委員会で実施・継続することについての承認を得ています。
治験審査委員会議事概要
治験審査委員会は、毎月第3水曜日に開催しています。原則8月・12月は休会です。
過去の議事概要の閲覧を希望される方は、下記お問い合わせまでご連絡ください。