市民公開講座開催レポート
2025年1月16日に第119回市民公開講座を開催しました。今回は糖尿病療養指導士の水越美香より「糖尿病ってなに?~病気について正しく理解しましょう!~」と題し、当日は22名の方にご参加いただきました。
糖尿病とは
体内には血糖値というものがあります。その値の高い状態が長く続くことにより、様々な合併症を引き起こす病気と言われています。膵臓から血糖値を下げてくれるホルモン【インスリン】の分泌が不足したり、分泌されているが身体に効きにくい状態になった時に、血糖値が上昇すると言われています。
糖尿病の原因
- 遺伝・・・生まれ持った体質
- 環境・・・過食・運動不足
- その他・・・加齢・免疫異常・ストレスなど
糖尿病の症状
- 口渇(のどが渇く状態)
- 多飲
- 多尿
- 体重減少
糖尿病の種類
- 1型糖尿病・・・自己免疫が原因でインスリンの分泌が枯渇する状態
- 2型糖尿病・・・遺伝や生活習慣が原因で、インスリンの効きが悪くなる状態
また、インスリンの分泌が枯渇する場合もある - 妊娠糖尿病・・・妊娠期間中のみ耐糖能障害がおきる状態
- その他の糖尿病・・・薬剤性や化学物質によるもの、膵臓の摘出などが原因でおこる状態
糖尿病の治療
食事療法
健康的な食事の基本は、適切なエネルギー量(カロリー)の食事、栄養バランスのよい食事を規則的に食べることです。
主食、主菜、副菜のような献立が理想的で、日本食の昔ながらの献立などが挙げられます。
また栄養バランスのうち、炭水化物(米やパンなど)は50%程度の割合で摂取することが理想的と言われています。
近年糖質制限が良いという話を耳にします。食べすぎは良くないですが、身体にとって炭水化物という栄養素は必要であり、糖尿病の治療においては炭水化物も必要であると言えます。
運動療法
運動をすることで、筋肉が体内のブドウ糖を取り込んで血糖値を下げたり、インスリンが効きやすい体になるため、効果的と言われています。
しかし、低血糖の恐れもあるため、注意しながら行う事が大切です。
運動療法の継続に不安を感じる方が多いです。毎日運動をすることは大切ですが、まずは週1回から始めてみるなど、習慣化することを心がけてみましょう。
薬物療法
薬物療法は患者さんの状態に応じて薬が選択されます。1型糖尿病のように、インスリンの分泌が低下したり、枯渇している場合は、インスリンを補う必要があるため、インスリン注射を行います。
完全にインスリンが分泌がない場合は食事のタイミングでの注射と、時効型インスリンを打つ必要があり、一日4回のインスリン注射が必要となります。
また、インスリンは出ているが、効きにくい状態となっている場合は、効きやすくなるようなお薬を使っていきます。
糖尿病の合併症について
糖尿病治療の目標は合併症を予防し、健康な人と変わらない生活を送ることです。
全身に流れる血液中の血糖値が高い場合、血管に負担がかかります。負担が続くといずれは破綻し、合併症が出現します。
合併症がないうちは自覚症状はあまりなく、気づいた時には合併症が進行していることもあります。
合併症は大きく分けて2つに分かれます。 細小血管障害と大血管障害です。
細小血管障害
神経障害、目の網膜症、腎症
大血管障害
狭心症・心筋梗塞、脳梗塞、抹消動脈疾患(PAD)
まとめ
糖尿病はよく聞く病気ですが、大変奥が深い病気なのです。糖尿病は正しく理解し向き合う事で、過度に恐れずに済みます。また、「たかが糖尿病でしょ。」と軽んじることなく、糖尿病の怖さを正しく理解しましょう。
そして、治療継続が大切です。自己判断で治療中断することなく、定期受診を継続しましょう。
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