~ 糖尿病食はじめの一歩 ~

糖尿病の恐ろしさ

 糖尿病は、血液中の糖が増える病気です。症状が出にくい、もしくは口の渇きや尿が増えると言ったような病気らしくない症状のため、病気に気付かず、残念ながら放置してしまう人が多いようです。しかし、長年血糖値の高い状態(ドロドロ血液)を放置すると、合併症で様々な病気を引き起こす可能性が高くなります。手足の痺れ、失明、透析、足の壊疽、心筋梗塞、脳梗塞など、生活に困る状態になる前に対策が必要です。

糖尿病食はじめの一歩

 この合併症を予防することが糖尿病治療の目的といっても過言ではありません。治療には、食事療法、運動療法、薬物療法がありますが、特に皆さんが壁に当た るのが食事療法です。糖尿病食で「食べてはいけない物」はほとんどなく、バランスよく食べることが考え方の基本です。次のポイントに注意するだけでも十分食 事の工夫になります。また、糖尿病がない方でも病気予防になります。

① 1回の食事に3つのお皿

② 朝昼晩(三食)をバランスよく食べる

③ よく噛んで食べる

④ 間食、ジュースはなるべく控える

入院患者さんの回診

糖尿病を持ち、手術をする患者さんの血糖をコントロールするなど

各診療科と連携します。

多職種・多診療科でもカンファレンス

糖尿病患者さんの抱える問題やリスクを

多職種・多診療科で検討しています。

糖尿病は早期発見・治療が大切

 現在、日本人6人に1人が正常より高めの血糖値で、50年前から35倍も増えています。これは、食の欧米化や自動車の普及による運動不足、遺伝など様々な原因があると考えられています。過去には「ぜいたく病」と呼ばれた時代もありましたが、「贅沢したから糖尿病になっても仕方無いわ」と思える人はそう多くありません。日本の生活そのものが糖尿病になりやすい環境へ変化してきていると言えます。食事を腹八分目(きつい人は九分目)にする、間食やジュースを控える、なるべく体を動かすなど、日常生活の中で気を付ける事が病気の治療に結びつきます。

 糖尿病治療では、いかに早期の段階で発見し、治療を開始できるかが大切です。最近10年ほどで使用できる薬の種類も増え、治療のオーダーメイド化も進んでいます。健診で血糖値が引っかかった方は早めに医療機関へ受診しましょう。

〈みずたになおひろ〉2000 年岐阜大学卒業。大垣市民病院、岡崎市民病院、名古屋大学、豊橋市民病院部長を経て、2013 年安城更生病院赴任、2018 年より内分泌・糖尿病内科代表部長。